1940年8月7日戦下のオーストリア・アルトアウス湖畔でチターを聴いた日本学徒会
「電灯を消そう。満天の星のもとで聴くのが何よりこの楽器にふさわしい」美術史 守屋謙二
「チターが奏でる音楽は戦争のない平和な社会を築こうという心が生まれる。
帰国したら情操教育に力を注ぎ、チターの普及活動をしていこうではないか」と日本学徒会一同は誓い合った。
日本学徒会とは1939年9月に勃発した第二次世界大戦時に欧州で勉学に勤しむ日本人が結成した組織で、団長にウィーン大学日本学研究所所長で民俗学専攻の岡正雄、副団長はウィーン大学教授村田豊文であった。1940年8月5日より10日間、ベルリン、ミュンヘン、ウィーン、ローマといったさまざまな土地からオーストリアの国立公園ザルツカンマーグートのアルトアウス湖畔(Altaussee)に結集した。
参加したメンバーは、
安達剛正(海軍技術嘱託)、阿部徳三郎(社会学)、岡正雄(民俗学)、菅義雄(文化映画研究)、木間瀬精三(西洋中世史)、桑木務(哲学者)、千足高保(ドイツ語学)、高木正孝(登山家)、高嶋泰二(ドイツ文学)、武井宗男(化学)、野村琢一(ドイツ文学)、原良夫(経済学)、守屋謙二(美術史)、山脇亀夫(文化映画研究)、吉井良三(昆虫学)、村田豊文(哲学、倫理学)、渡邊護(音楽学)
の17名であった。
日本学徒会副団長村田豊文より内藤敏子がその志を引き継ぎ「戦下のなかでの誓いを決して無駄にはしない」という思いから、1982年8月7日に日本チター協会を設立。会長に内藤敏子、名誉会長には日本学徒会副団長村田豊文が就任し、チターの普及活動を開始する。
日本チター協会は、世界平和と人々の幸せを願い、演奏活動のみならず、後進の育成や、病院や施設での演奏活動も精力的に行う。1993年より11年間、サントリーホール(東京赤坂)大ホールでチター音楽祭を開催。国立がんセンター中央病院(東京築地)では末期がん患者の方々を30年に渡って演奏を通して励まし続けた。
「今、私たちを取り巻く社会環境は、常に不安が伴い、安心して暮らすことが難しく、芸術文化を最も必要とする時代を迎えた。チターという楽器を通して、ひとりでも多くの方に安らぎと幸せをお届けすることに、より一層の努力をしたい」内藤敏子
第1回内藤敏子記念チターコンサート
第1回内藤敏子記念チターコンサートを開催いたします。このコンサートは、チター演奏家で教育者であった内藤敏子の名を冠し、チターの美しさを伝え、多くの方々に安らぎと幸せをお届けてできればと願って企画いたしました。このコンサートを通して、今後、素晴らしいチター演奏家が誕生することを心から願っています。今後とも皆さまのご支援、ご指導のほどよろしくお願いいたします。
内藤敏子は、元々ヴァイオリンを専門としていましたが、チターとの共演をきっかけにチターに魅了され、後に世界を代表するチター奏者になりました。ヴァイオリンは、弦を弓で擦って音を奏でる擦弦楽器ですが、チターは弦を爪で弾く撥弦楽器です。楽器から出る音の波動を最後の最後まで大切にしていた内藤にとって、撥弦楽器チターで、最後まで美しい音の波動を届けることは大きな課題でした。そのようなことから第1回の記念すべきゲストには、ヴァイオリニストの青木博幸さんとピアニスト石川咲子さんをお招きいたしました。青木さんはヴァイオリンの専門家でありながら内藤敏子にチターを師事、ヴァイオリンとチターの両方を良くご存知です。また今回は、内藤敏子が愛用したヴァイオリンも奏でて下さる予定です。会場の「かつしかシンフォニーヒルズ」は、映画「男はつらいよ」が縁でウィーンと姉妹都市縁組みをし、記念に建てられたコンサートホールです。皆さま方のご来場を心からお待ちしております。
日時:2025年11月8日(土)13:30~
出演:ヴァイオリン 青木博幸
ピアノ 石川咲子
チター 芦川裕子、葛原みづゑ、工藤恵美子、島村倫子、田鎖由美子、根岸真理子、
藤井典子、藤森美月、馬汗里奈、松本直樹、吉野房子、渡部孝子
ハックブレット 高橋智恵
ギター 木村 茂
交通:京成線青砥駅徒歩5分
料金:3,000円
主催:日本チター協会
協力:内藤チターアカデミー
申込・問合せ:Tel. 0467-38-4924
諏訪国際交流協会 第21回トークの日
チターを語り、聴く、ひととき
諏訪市は、1960年よりオーストリア・チロル地方のヴェルグル市・クンドル町と姉妹都市交流を続けています。日本学徒会の提案から、両国の記念に諏訪市から「鯉のぼり」を、ヴェルグル市・クンドル町からはチターが寄贈され、今も諏訪市庁舎にはチターが大切に保管されています。日本学徒会とは1939年9月に勃発した第二次世界大戦時に欧州で勉学に勤しむ日本人が結成した組織で、団長はウィーン大学日本学研究所所長で民俗学専攻の岡正雄、副団長はウィーン大学教授村田豊文でした。1940年8月5日より10日間、ベルリン、ミュンヘン、ウィーン、ローマといったさまざまな土地からオーストリアの国立公園ザルツカンマーグートのアルトアウス湖畔(Altaussee)に結集しました。参加したメンバーは、安達剛正(海軍技術嘱託)、阿部徳三郎(社会学)、岡正雄(民俗学)、菅義雄(文化映画研究)、木間瀬精三(西洋中世史)、桑木務(哲学者)、千足高保(ドイツ語学)、高木正孝(登山家)、高嶋泰二(ドイツ文学)、武井宗男(化学)、野村琢一(ドイツ文学)、原良夫(経済学)、守屋謙二(美術史)、山脇亀夫(文化映画研究)、吉井良三(昆虫学)、村田豊文(哲学、倫理学)、渡邊護(音楽学)の17名。1940年8月7日、チターを聴いた一同は「チターが奏でる音楽は戦争のない平和な社会を築こうという心が生まれる。帰国したら情操教育に力を注ぎ、チターの普及活動をしていこうではないか」と誓い合ったことから、後に諏訪市に姉妹都市のヴェルグル市・クンドル町からチターが贈られる事になりました。チターを通じての諏訪市との友好をビデオ上映とお話、日本チター協会アンサンブルによる演奏でお楽しみください。会場は、諏訪湖畔に佇むチャペル「ブレイズスクエアガーデン」で、諏訪市原田泰治美術館の隣です。
日時:2025年11月16日(日)13:30~16:00
出演:チター 井上ふみ子、藤森美月
ギター 木村 茂
お話し 内藤 研
会場:ブレイズスクエアガーデン(諏訪市原田泰治美術館隣接のチャペル)
(長野県諏訪市渋崎1792)
交通:JR中央本線上諏訪駅よりバスまたはタクシー約10分
料金:無料
主催:諏訪国際交流協会
共催:諏訪市
後援:諏訪市教育委員会
問合せ:諏訪国際交流協会事務局(諏訪市役所総務部総務課内)Tel. 0266-52-4141(内線331)